コンセプトをユーザーに伝えるワザ!コンセプトビジュアルとは

伝えたいことを伝えるために、コンセプトビジュアルを学ぶ


近年インターネットの発達と主にスマートフォンユーザーが増加したことによる影響で広告制作や、企業や店舗がウェブサイトを持つということが当たり前になりました。
広告やウェブサイトも、商品やサービスなどのコンセプトを伝えるために、ビジュアル化して伝えるということが今となっては欠かせません。
ブランドや企業イメージを伝えるデザインだけではなく、企画書、営業のプレゼン資料などでもコンセプトに対してビジュアルを活用することが広まっています。
このように、曖昧で抽象的なメッセージを顧客にわかりやすく届けるためには、工夫を凝らしてビジュアル的な表現で相手に強い印象を与え、さまざまな媒体で展開し各企業努力しています。

コンセプトビジュアルとは?


そもそもコンセプトビジュアルという言葉は広まっていなく、「コンセプト」と「ビジュアル」が組み合わせられた言葉となります。
コンセプトとは、商品やサービスを企画する際や、広告を制作する際に、全体を貫く基本的な観点・考え方となります。英語の「concept」が語源となっており、「概念」という意味になります。
現場では、商品やサービスをどのような考えを軸として開発を進めていくのか、説明するために用いられることや、考え方などチームが迷走しないためにコンセプトがあることでぶれずに開発を進めていくことができます。
例えば、「ドイツがコンセプトのレストラン」だと、店の内外の装いはドイツ風になり、店名やスタッフの制服、料理すべてがドイツ風である、ということになります。
一方「ビジュアル」は、視覚的に顧客に訴える方法で、ラテン語が語源で「見ること」を意味する言葉です。
近年では、SNSで投稿されることを意識したビジュアルによる「インスタ映え」効果を狙う商品や店舗の内装に力を入れるお店も続々登場していますね。
ビジネスで例えるならば、データをグラフ化したり、抽象的なイメージをイラスト化、映像化したりすることが挙げられます。
この2つの言葉を組み合わせた言葉が「コンセプトビジュアル」です。
「企画や構想を貫く基本的な考え方を視覚的な方法で表現する」ということになります。

コンセプトビジュアルが重要なワケ

コンセプトは企業やお店の強みであったり、理念であったり、目指すものだったり、競合との差別化などのするためにも必要なものでもあります。またいま紹介したそれらは、抽象的なことであることが多く、それらをビジュアル化させるということは、顧客に「このお店(企業)は、こんな事をしているんだ」「これなら商品を使ってみたい」と思わせることができます。
コンセプトビジュアルがなければ、コンセプトに沿ったビジュアルが作れませんので、広告もウェブサイトのページひとつひとつ、統一感がないバラバラなウェブサイトになってしまうでしょう。そうなってしまえば、新規顧客がなかなか商品やサービスを利用してもらえなくなる可能性が高まるだけではなく、顧客からは「何がしたいお店(企業)なのかわからない…」と判断されかねません。
そうならないためにも、コンセプトに従ったビジュアルを媒体に合わせて制作し、顧客に訴求することが大切です。

そもそも、コンセプトはしっかり持っている?

繰り返しになりますが、コンセプトは重要です。
コンセプトがなければ、どんな情報を伝えたいのか、どんなビジュアルを顧客へ伝えたいのか、それを見た顧客はどんな反応をするのか(あるいはさせたいのか)、など大きな役割を持ちます。
デザイナーや企画者などは耳にタコができるほど、同じことを言われたことがあるとは思いますが、コンセプトを設定することで、このようなメリットがあります。

・コンセプトによって方針ができるため、迷いにくい
・常にターゲットに対して意識を向けた商品やサービスの開発や提供を目指せる
・競合と同じような商品やサービスでも、具体的な想定によって機能性や実用性、デザインによって差別化できる
・顧客やクライアントにロジカルな説明ができるため、説得力をもたせられる

逆に、コンセプトをもたない場合、上記のポイントがほぼなくなります。
チームは迷走し、ターゲットに対してズレや商品ができあがってしまう……。このようなことにならないためにも、コンセプトは持っておきたいですね。
しかし「良いコンセプトってどうやって決めたらいいか」と思う方も中にはいらっしゃることかと思います。自分が決めたコンセプトの良し悪しを客観的に判断するのは簡単ではありません。
良いコンセプトには具体的な特徴があります。
チョコレートを例に取ってみましょう。
チロルチョコはチョコレートですが、一口サイズの台形の形をした商品です。
同じ一口サイズで食べられるチョコレートもありますね。ダースは、12個入りのパッケージで、甘いミルク味や一般的なチョコレートミルク、ほろ苦いビターなどの商品が展開されています。
「12個入りだからダースです」というキャッチコピーがありました。
一口サイズで台形ではなく、板チョコのようなものであればそれはチロルチョコと呼ぶことはできませんよね。
これらがコンセプトになります。
なので、コンセプトビジュアルを制作する際にはコンセプトを理解し、コンセプトを決めてから制作に取り組みましょう。

コンセプトビジュアルで成功している例

コンセプトビジュアルで成功している事例をご紹介します。企業、商品、店舗とそれぞれのケースでコンセプトビジュアルをご紹介します。

HONDA


自動車で有名なHONDAは、「The Power of Dream」のキャッチコピーの他に新しいキャッチコピーを新しくつくり、ビジュアルコンセプトを配置しました。
ビジュアル内には子供がとロボットのASIMOがいますが、走る子供が将来に向かう夢や希望、未来を象徴しているのでしょうか。子供だけだとただの情報としてしか印象に残りませんが、ASIMOが一緒に走っていることによって、人の夢や未来にHONDAが寄り添いますよ、というメッセージが垣間見えるようにも思えます。
このように、ASIMOがいることによって、HONDAとひと目見てわかるような製品があってこそのビジュアルですが、シンプルでありながらイメージやストーリーが湧く良いコンセプトビジュアルです。

サントリー


「水と生きる」というメッセージで有名なサントリーによる環境活動をPRした広告で、写真ではなく少ない色合いでつくられた美しいイラストで表現しているビジュアルです。
水と生きる、というメッセージに沿った単色の水色が映えた切り絵的なイラストは、全体的に見ると鳥やハートマークになっていますが、細部をよく見ると動物や木といった自然で作られています。
清涼飲料水メーカーらしい清涼感と健康的な広告に仕上がっており、サントリーのコンセプトやブランドにピッタリなビジュアルですね。

うんこ漢字ドリル


大ヒットした漢字ドリルで、商品コンセプトは「日本一楽しい漢字ドリル」となっています。
子供にとっての勉強のつまらなさにスポットを当てて、つまらないという問題を解決しているコンセプトです。
パッケージも「うんこ」という汚いイメージを払拭した単色を使ったカラーに、ユニークなキャラクターがいることで、タイトルのインパクトに加え大人も目を引くデザインとなっています。
誰が読んでも面白く、楽しく勉強ができるようになっていて、うんこ漢字ドリルは商品として大成功しました。

ライフイズテック


ライフイズテックは、中学生、高校生向け IT・プログラミング教育サービスで、2010年にスタートし、プログラミング教室(スクール)を展開、全国・国内最大規模でイベントを開催しています。
コンセプトは「中学生、高校生のためのプログラミング・ITキャンプ/スクール」と直球です。
毎年サマーキャンプを実施しており、学校で行われている勉強以外のプログラミングやゲーム、グラフィックなどのほか15コースがあり、技術習得を楽しく学べるというコンセプトです。
ビジュアル的には実際にイベントに参加している風景です。実際の現場の風景を用いることで、真剣さや楽しさ、子供のビジュアルからは楽しく技術を習得してこれから未来で活躍するということを表現しているようにも見えます。
事例を通して見ると、コンセプトそのものは、ビジネスの価値を伝える言葉や文章、あるいは顧客の問題を解決するために何か提供できるものであると言って良いでしょう。

コンセプトビジュアルの作り方


コンセプトビジュアルを作るにはどのようにしたら良いのでしょうか?いくつかのポイントがありますのでまとめてご紹介します。

コンセプトを決める

ビジュアルを決める前にはコンセプトを決めなければいけません。
広告なのか、ウェブページなのか、媒体も関係なくコンセプトは必要です。コンセプトを決めたあとに、ビジュアル化するために必要な事項を洗い出し制作を行います。
コンセプトを決めるためのコツを3点ご紹介します。

共有・共感

コンセプトが明確であることが大切です。初めて聞いても混乱せず、言いたいことがわかるコンセプトは、やるべきことや目標のイメージが湧くため、関係者で共有、顧客への共感される力が高いと言えるでしょう。
また、コンセプトを決めるのに悩んでいる方に陥りがちなキャッチコピーと混同してしまう問題もありますが、コンセプトに関してはおしゃれな言い回しや表現をする必要がありません。表現に囚われすぎてしまうことが少なくないため、もし気の利いた表現で決めたい場合でも共有が簡単、共感されやすいというポイントを意識してみましょう。
フレーズに惑わされないよう組織の中でイメージのズレが起きない、しっかりと共有できているかを話し合うということも大切です。

期待感

コンセプトが実現されることに期待が持てるか、という点です。コンセプトを聞いてワクワクすることや、驚きがある場合そのコンセプトには期待感があります。逆にワクワク感が少なく、実現しても期待感が持てないという場合には、良いコンセプトとは言えず企画としても失敗する可能性が高いです。
ですが、あまりにも期待感を追い求めすぎて突拍子もないコンセプトになってしまっては成り立たないこともあります。難しいけども、実現可能性があるコンセプトですと、「実現できるかもしれない」というようなワクワク感があるものが良いでしょう。

原点的

原点的とは、そのコンセプトに立ち返って別の商品やサービスを生み出せることができるかどうか、という意味合いです。例えば牛丼チェーン店の吉野家では「うまい、はやい、やすい」がコンセプトとなっており、牛丼だけではなく季節商品など数多くのメニューがあります。
このように、コンセプトを原点としてさまざまな商品を考案、開発する力のあるコンセプトかどうかが大切です。このコンセプトを原点にすることで、商品やサービスにも一貫性が持てるようにもなります。
もちろん、個々の商品やサービスにはそれぞれのコンセプトがあるでしょう。一発当てて終わる、というだけコンセプトでは、一過性のものにしかなりません。

商材イメージから連想する

コンセプトビジュアルでは、展開している商品やサービスのイメージから写真やイラストを制作してみましょう。どんなイメージでしょうか? かわいい、おしゃれ、シンプル、かっこいいなどさまざまなイメージがあるかと思います。

アイディアを出す

まずは思いつく限りアイディアを出しましょう。どのようなイメージか、コンセプトに合う写真のイメージはなんでしょうか?
ビジュアルのアイディアは、グラフィック、モチーフ、印象の3点を考えると、以下のようなパターンの組み合わせで考えることができます。

グラフィック
写真
イラスト
図(図形やグラフ)
文字

モチーフ
人間
商品・サービス
場所
景色
動物やキャラクター
時間

心理的印象
かわいい
楽しい
わくわく
シンプル
真面目な
ラフな

いくつかの例を上げてみましたが、この3点に関するアイディアをもっとたくさん出していくとよりよいビジュアルが制作できます。特に商品やサービスに合うモチーフと心理的印象、そしてコンセプトに合うモチーフと心理的印象を組み合わせてみましょう。どんなものが合うのかが見えてくるはずです。

キーワードから連想する

GoogleやYahoo!などの検索エンジンで画像検索を活用するのも有効な手段です。
「キーワード コンセプト」「キーワード イメージ」と検索することで、思いもよらぬアイディアが見つかることもあります。
英単語で検索をかけると海外のデザイナーが制作したビジュアルが表示されますので、合わせて活用して見ましょう。
また、Adobeなどが提供しているストックフォトサイトがあります。
ストックフォトはさまざまなシチュエーションに合わせて用意された有料写真素材のことです。使用料金を払って、利用することができます。
頻繁に使用されると思われるシチュエーションで予め用意された写真素材のこと。もしくは、写真を含むそのほかマルチメディア素材のこと。その中から、予算に応じて広告・出版等の制作会社が目的に合った素材を選び、使用料を支払うことで利用できます。
ストックフォトサービスもさまざまなサービスがありますので、色々と検討してみてください。

良いデザインとは?


では、コンセプトビジュアルの制作に取り組む際に、良いデザインで仕上げることは当然ですが、良いデザインとは何でしょうか? さきほどのキーワードのような感覚的なかわいい、きれい、おしゃれ、というものを思い浮かべてしまいがちですが、「良いデザインにしなきゃ」と言うことが先行してコンセプトが伝わらなければ意味がありません。コンセプトビジュアルがより伝わるポイントをご紹介します。

伝わりやすいもの

コンセプトの文章や文言と、デザインや仕様する写真が、マッチしているものを組み合わせることで、伝わりやすくなります。
良く使用される写真は子供の写真ですが、それは未来や夢、といった象徴的なシンボルだと考えられているからです。

わかりやすいもの

まずは、グラフィックなどのイメージが伝わりやすいものが良いでしょう。複雑な図形を組み合わせることや、凝りに凝ったエフェクトや効果などを多用しても、見る人には伝わりません。見た人が直感的にわかりやすい、と思うことも重要なポイントです。

感情を揺さぶるもの

感情を揺さぶる、というのは、ストーリー性の高いという意味です。写真やイラストなどを一目見てもその背景が考えられるようなイメージだとベストですが、そこにコンセプトが加わることで、より一層深いメッセージを顧客に届けることができます。
例えば「白背景に女性が笑顔で立っている写真」は、ただの女性の写真ですが、「夕焼けに向かって目が潤んだ少女が風になびかれている砂漠の写真」、というような写真を比べるとどうでしょうか? これから何が起きるのか? 何があったのか? 考えざるを得られませんよね。感情を揺さぶる一番の方法は、何かそこから意図をくみ取ることができるイメージを用意することです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? コンセプトビジュアルについてはご紹介しましたが、コンセプトをもとにそれに合ったビジュアルを用意することで、よりコンセプトが伝わりやすく、顧客やユーザーに訴えられることが大切です。コンセプトを決めることで、何か迷った際にはそのコンセプトに立ち返ることで、ぶれずに行動をすることができる方針のような役割もあるため、顧客のためではなく、自分自身や所属している組織のためにも欠かせません。