マーケターが注目すべき「サブスクリプション」型モデル

Huluも?Netflixも?使いたい時だけ使える!サブスクリプション型モデルについて


インターネット環境の整備やデバイスの進化により、インターネットを利用したサービスが広がりを見せています。
単なる新しいサービスや商品が生まれるだけではなく、これまであったサービスや商品も、インターネットの普及により提供方法や商品自体に変化が生まれてきました。
分かりやすい例でいえば、新聞など、物理的に実態のある紙面で提供されてきましたが、今ではスマートフォンで簡単に見られるようにデジタルコンテンツとして提供され、これまで地下鉄や電車内で新聞を広げて肩身の狭そうに新聞を読んでいた光景は今ではほとんど見られなくなってきました。
時代が進化することでこれまでの常識が常識ではなくなり、新たな常識・生活スタイルが生み出されているなかで、我々マーケターとしては、その動向や社会常識の変動に常にアンテナを張っていなければならないでしょう。
特に、いま注目すべきなのは、商品やサービスを提供する手段として「サブスクリプション」という方法が取り入れられており、多くの企業でこのスタイルで商品やサービスを提供しています。
今回は、サービスを提供する新しい形であるサブスクリプションについてご紹介していきたいと思います。

モノが溢れ「所有」を求めない顧客が多くなった


サブスクリプションという方法が注目されるようになった理由は様々ですが、どの理由も現在までに社会環境が変化し、消費者の行動が変化したことが挙げられるでしょう。
一つ一つ見ていきましょう。

モノ・情報の飽和

サブスクリプションが注目されるようになった一つ目の社会背景としては、「モノ・情報の飽和」が挙げられます。
世の中にはモノが溢れ、戦後間もないころと比べて考えられないような社会となっています。
食べ物や生活用品など、どこにいても手に入り、モノを購入する手間や時間、金銭的な感覚も一昔前から比べ、ここ数年で大きく変化してきていると言えるでしょう。
特に、コンビニエンスストアが全国で展開したことで、24時間どこでもいつでもある程度のものは手に入るようになり、インターネットを通しも好きな商品がいつでも購入できるようになりました。
また、モノだけではなくあらゆる情報が共有され、知らないことやわからないことがあってもインターネットで検索すればある程度の答えは数秒で見られるようになりました。
そういったところから、モノや情報が溢れ、手に入ることが当たり前の時代となってきました。

購入するという消費者が減少

モノや情報が溢れ、手に入ることが当たり前の時代になったことで、人々は「所有する」という意欲が薄くなったと言われています。
簡単に手に入らないものだからこそ、頑張ってお金を貯めて購入するということが、一昔前までの考え方としてありましたが、様々な商品が手に入りやすい価格となり、所有するという欲が少なくなったと言えるでしょう。
特に顕著なのは、若者の車離れで、一昔前までは高級車を所有することや自分専用の車を所有することはステータスのようなものでしたが、今では車を所有したいという若者が少なくなってきました。

必要な時に必要な分だけ

一時期、断捨離という言葉も流行りましたが、いまではモノを所有するという欲が薄くなったことと、いらないものを持ちたくないという考えが広まっており、必要な時に必要な分だけ利用するという考えが広まっています。
例えば、ゲームの購入なども、ゲームを購入してクリアしたら中古ショップに売るということも当たり前のように行われており、昔のようにモノを大事に所有するという考え自体が薄れているようです。
また、そのような消費行動に移る背景としては、インターネットの普及により、インターネット上のサービスでサブスクリプション方式での販売が多く行われているからと言えるでしょう。

サブスクリプションという考え方が出現

これまでサブスクリプションという言葉について触れてきましたが、サブスクリプションとは一体何なのでしょうか。サブスクリプションについて見ていきましょう。

サブスクリプションとは?

サブスクリプションとは、簡単に言うと定額制のサービスのことで、一定の期間分の支払いをすれば、一定期間サービスを利用することが出来るというものです。
サブスクリプション方式はインターネット上のサービスを中心に広まりを見せており、商品やサービス提供をしている企業が、この方式を多く取り入れており、購入する側もサブスクリプション方式に抵抗なく利用している状況となっています。

代表的なサービス

サブスクリプションの代表的なサービスとして挙げられるのは、NETFLIXのような映画などの動画配信サービスが挙げられます。
NETFLIXでは、映画やTV番組、アニメなどが見放題のサービスとなっており、30日間の無料体験を経て、1か月単位で800円から利用できるサービスとなっています。
長期契約や追加料金を支払うなどのシステムではなく、月額800円支払えば、その月ごとにサービスを利用できるというもので、これまでのサービスであれば1年縛りというような契約条件がありましたが、そのような条件が無くユーザーとしては利用しやすいサービスと言えるでしょう。
また、サービスの利用もネットから申し込みをして、利用する際にはスマートフォンやタブレットなどデバイスを選ばないため、どこにいてもいつでもサービスを利用できるということは、今のデジタル社会のサービスとしては合っていると言えるでしょう。

これまでの販売方法とこれからの販売方法

これまで、商品の販売方法としては、定額制のサービスだとしても一定期間の契約条件があることや、途中解約をした場合、違約金が発生するなどありました。
それらの違いについて見ていきましょう。

従来のプロダクト型

プロダクト型と呼ばれる販売方法は、商品やサービスを購入してもらうという考え方で、一定期間や特定の期間ではなく、永久的に買い取りをしてもらうという方法でした。
ゲーム機で考えると、ゲームのソフトをおもちゃ屋さんで購入し、その購入したゲーム機は永久的に自分のモノでした。
プロダクト型の特長としては、サービスや商品を購入し、買い切り状態になったものになるという点と、購入した消費者が商品の所有者となるため、いつでも自分の手元にあるということがステータスになっていたとも考えられます。

これからのサブスクリプション型

これまでの購入方式が買い切り型であったのに対して、現在注目されているサブスクリプション型というのは、一定期間のみ利用するという定額制のサービスとなります。
サービスの内容や企業ごとに期間や料金、条件などは異なりますが、大抵1か月から使用できるようになっており、面倒な手続きや違約金などの条件が無いものが多いです。
それは、これまでご紹介してきた社会的な背景によるもので、「手軽に」利用できるということが、今の世の中には求められており、少しでも手間が掛かったりお金が発生したり、契約者にとって悪条件となるようなサービスは選択されないような世の中になってきました。

サブスクリプション型のマーケティング方法


我々マーケターとしては、サブスクリプション型のサービスが増えてきたこの社会で、どのような考え方・活動をしていけばよいのでしょうか。

プロダクト型のマーケティング

まず、これまで多かったプロダクト型のマーケティングについて見ていきましょう。
プロダクト型とは、売り切り型の商品販売方法で、これまでの主要な販売方法となっていました。

・ゴールは購買だった
プロダクト型のマーケティングでは、見込み客の獲得のゴールは販売してもらうこと、つまり購入してもらうことがゴールでした。
プロダクト型の商品販売方法としては、購入してもらわない限り売り上げにはつながらず、会社の売上に繋げるためには購入してもらうということが必要でした。
ゴールが明確に購入してもらうということで、販売戦略としても明確でしたが、現在では市場のニーズが変化してきており、大きな買い物も小さな買い物も「購入して所有する」というニーズが前よりも少なくなってきたことは確かでしょう。

・KGIは単的な売り上げ
プロダクト型のマーケティングとして、最終的なゴール、つまりKGIは売上でしかありませんでした。
しかもそれは、端的な売り上げとなり、継続的な購入ではなく、1製品あたりの売上が目標数値であり、それを獲得していくための販売戦略が打ち出されていました。
端的な売り上げ獲得を目標にしているため、販売戦略としては、ビルの上から下までを営業するローラー作戦や、飛び込み営業など努力型の営業スタイルが昔から多く見られてきました。
営業戦略についてはプロダクト型もサブスクリプション型も、営業戦略を立てる人によって異なりますが、販売して終わりという営業戦略が主だった戦略となっているケースが多いことでしょう。

・KPIは認知してもらう事
また、販売戦略としてKPIは認知してもらうことが主でした。
勿論、購買に繋がってくれることが目的ではありますが、いかに多くの人に認知してもらうかが重要な指標となっているケースが多く、Webサイトの利用もカタログ形式のパンフレットの様なページにしていることが一般的でしたが、現在では一つのサービスや商品ごとにWebページを作っていくことが基本となっています。
サブスクリプション型のマーケティング
次にサブスクリプション型のマーケティングを見ていきましょう。

・ゴールは繋がり続けること
サブスクリプション型の販売方法は、基本的には継続的な購買が必要となるため、一時的な購入ではなく、いかに継続して利用していただくかがポイントとなります。
そのため、継続的な利用をしてもらうための戦略が主となり、ゴールは繋がり続けることです。

・KGIは顧客の生涯価値
KGIは単月の売り上げではなく、一人の購入者の最終的な生涯価値を目標にするケースが多く、一人の購入者が継続的にどのくらいの月数・年数利用を続けてもらえるかがカギとなります。
KGIを短期的なものとしてしまうと、その月の売上を獲得していくためには新規活動を多くし、顧客のところにたくさん訪問し、営業活動を行うということが必要になりますが、継続的な利用を促していくためにはそのような新規顧客の獲得よりもサービスの質を高めることや、顧客とのコミュニケーションの密度などが重要になってきます。

・KPIは顧客の推奨度
目標となるKPIは顧客の推奨度となります。
いかに顧客がサービスに対しての認知度だけではなく、このサービスが良いという認識を持ってもらえるかがサブスクリプション型の販売としては重要となってきます。
様々なサービスがあるなかで、自社のサービスや商品を選んでくれる理由を明確にし、顧客からのサービスや商品に対する信頼度を高めていくことが必要です。

定額制との違い

サブスクリプション型の販売は定額制のサービスと比べて何が違うのでしょうか?
定額制もサブスクリプションも料金を定期的に支払い、その期間はサービスを受けられるという点では一緒ですが、定額制の場合には利用期間の条件などがあり、違約金などが発生するケースもありますが、サブスクリプションでは基本的には月単位での利用をすることができ、さらにはプランによってオプションなどが付くものもあります。
定額制のイメージは「使い放題」にしたいから定額制にするというイメージが強いかと思いますが、サブスクリプションのイメージは、そもそも使い放題にしたいというよりも、「この期間だけ使いたい」「必要な時にだけ使いたい」というイメージになります。

サブスクリプション型のメリット・デメリット

次に、サブスクリプション型のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

サブスクリプション型のメリット

サブスクリプション型のメリットとしては、ユーザーにとって使いやすい・利用しやすいという点が挙げられます。
ユーザーにとっての利用しやすさは、現代においては外せない重要なポイントとなり、今では「簡単に」「シンプルに」出来ることがユーザーの行動を促すうえでは必要です。
逆に、「面倒」「わかりづらい」「複雑」なサービスほど、ユーザーが離れていくサービスとなっています。

サブスクリプション型のデメリット

サブスクリプション型のデメリットとしては、一気に売上を上げることは難しいということと、継続してもらえない可能性があるということです。
継続してもらえなければもちろん売上にはつながらず、継続して利用してもらえる顧客をいかにつかまえるかがポイントです。
そのためには、顧客との関係性を続けていくことが重要なポイントとなります。

サブスクリプション型を取り入れているサービスの例


最後に、サブスクリプション型の代表的なサービスを見ていきましょう。

Apple Arcade

Apple Arcadeは、名前の通りApple社が提供しているサービスで、Apple社が提供しているゲームをサブスクリプション型の販売方式で提供しています。
Appleはこのサービスに5億ドルほど投資しており、オンライン上だけでのゲームサービスだけではなく、おフランでも利用できるゲームを、デバイスを横断して利用できるようにしており、多くの利用者を獲得しています。

Hulu

Huluは、動画配信サービスとして有名なサービスですが、サービスの中Hulu Plusの加入者は月額9.99ドル出すことにより、テレビ番組を閲覧することが出来るというサービスを開始しています。
ただ無料で見られるという番組とは別に、課金制のサービスを追加したことで、利用者は好きなタイミングで好きな番組を視聴することができるようになっています。
TV離れが進んでいる若者を中心に、スマホ片手に動画を閲覧するユーザーが増えているため、時代のニーズに合ったサービスと言えるのではないでしょうか。

Dyson Technology +

Dyson Technology +は、名前の通りダイソンが提供しているサービスで、ダイソンと言えば掃除機が有名ですが、掃除機を購入するためには数万円の費用が必要となります。
しかし、ダイソンが提供しているサブスクリプション型のタイプでは、月額1,080円でダイソンのサービスを利用することが出来るようになっています。
一から高額の支払いをしなくてもサービスを利用することが出来るため、消費者にとっては、ダイソンのすばらしさや利用のしやすさを試すだけではなく、定期的に利用しやすくなるサービスと言えるでしょう。

まとめ

ここまで、サブスクリプション型のサービスについてご紹介してきました。
企業のマーケターの方々は、これからの消費者の行動を考え、マーケターとして様々な販売方法や集客方法を考えていくことが必要です。
これまでのプロダクト型の販売方法は今の消費者のニーズに合っていない可能性があり、特に、IT系のサービスを提供している企業にとっては、サブスクリプション型の提供方法を検討していく必要があるのではないでしょうか。