働き方改革がWebマーケターに影響を及ぼすこと

これからのwebマーケターの働き方はどうなるの?

将来の労働人口減少を見据えて、内閣は「働き方改革」というテーマを掲げ、働く人の立場になった施策を打ち出すことを決定し、計画の実現に向けたロードマップを作成しました。
これまで実現することが難しいとされてきた「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」について踏み込んだ施策となり、今までの社会とは異なる画期的な施策と言えるのではないでしょうか。
そんな中、企業で働く従業員の方は、自分たちの働き方や給与の面、環境整備など自分たちにも影響を及ぼすこの施策に対して不安になる方も少なくないでしょう。
良い方向に変わるのであれば嬉しいものですが、実際にはどのような影響を及ぼすことになるのか期待と不安が混じっていることでしょう。
今回は、企業の中でもWebマーケティングをしているマーケターの立場において、働き方改革がどのような影響を及ぼすのかを見ていきたいと思います。

働き方改革っていったい何?

働き方改革と言う言葉をよく耳にするようになりましたが、働き方改革とは一体どのようなものなのでしょうか。
まずは、働き方改革についておさらいしていきましょう。

働き方改革とは

働き方改革とは、安倍晋三首相が2016年9月に内閣にて働き方改革実現推進室を設置し、翌年3月には働き方推進会議において働き方改革実行計画という9つの分野についての計画をロードマップとして具体的にまとめられました。
そして、2018年6月には参院本議会において「働き方改革関連法案」が可決・成立し、働き方改革が本格的に施行されることが決定しました。
働き方改革は、日本における現在の従業員の働き方において、長時間労働であったり、休暇がなかなか取れない人が多い実態であったり、非正規雇用と正規雇用の収入の格差があったりすることを懸念し、そのようなことが無くなるようにしていこうというものです。
また、これから減少していく労働人口についても、働き方を改革することによって、誰でもどこでも働けるような社会を作り、労働人口減少を補っていく考え方を示しています。
特に高齢者が社会に出て働ける環境づくりを作ることや、副業禁止を原則としてきた社会を排除し、副業を推進するような社会にしていくというものが考えられています。
この、働き方改革を推進していくことにより国や企業、個人にとってはどのようなメリットがあるかというと、以下の様なメリットがあると考えられています。
・国にとっては労働者が増加することによって税の増収が見込める
・企業にとっては労働者の確保と生産性の向上が見込める
・個人にとっては個人の取り巻く環境により働き方を選択することが出来る
このようなメリットが考えられ、国にも企業にも個人にも働き方改革によって得られるメリットはあるようです。

いつから始まるの?

既に、2019年4月1日から「働き方改革関連法案」の一部が施行されています。
罰則付きの時間外労働の上限規制という残業時間に対して上限規制が掛かり、守らなかった企業においてはペナルティを与えるということを明言している法案です。
これまでは、企業に対して残業時間の上限は設けてきませんでしたが、今回の法案可決により時間外労働、つまり残業をするのはここまでだよという規制が掛かったのです。
通常、労働基準法においては、企業に勤める従業員の労働時間は、原則1日8時間・1週40時間と決まっていますが、それ以上に働く方がほとんどだと思います。
その場合には、企業と従業員の間で「36協定」を締結し、労基署に届け出をすることが必要です。
つまり、原則1日8時間・1週40時間を超える働きをしている会社においては、36協定を締結していることが必要不可欠と言うことです。
しかし、36協定を締結しても、時間外労働は月45時間まで、年間360時間ということが原則ですが、「特別条項付き36協定」と言うものが存在し、その特別条項付き36協定においては、年間6か月間は上限を超えて残業させることができる、つまり上限なく残業させてしまうことができるものとなっているのです。
このような状況がまかり通っていた社会をやめようと、2019年4月からまずは大企業において時間外労働の上限規制をかけ、守らなかった企業についてはペナルティを与えるということを決定したのです。

働き方改革が出来た背景


働き方改革を内閣が計画し、実行していくのはどのような背景からなのでしょうか。

労働人口の減少

背景の一つに挙げられるのは、労働人口の減少です。
現在、少子高齢化社会と言われ、これからますます少子化問題や高齢化社会の問題が出てくると言われており、その結果労働人口、つまり働く人たちの数が少なくなるということが問題視されています。
2016年の労働人口は6,648万人となっており、このままいくと2065年には労働人口は4,000万人になると言われています。
その人数で日本に住む総人口を養っていくことは難しいとされており、その課題に向けて労働人口を増やすことや、生産性を向上することを含めて働き方改革を計画したとされています。
今までは一つの企業に勤めることが良いとされてきていましたが、これからは副業も良しとされてきており、働き方や働く場所など、働く人にとって働きやすい環境づくりを作ることで、労働人口を増やそうというのが狙いです。

長時間勤務による過労死問題

最近では大手企業の従業員が過労によって死亡するなど、過労による自殺や過労死などの事件がニュースなどでも取り上げられ、話題になっております。
このような長時間勤務についても問題視されており、働き方改革によって長時間勤務などを無くしていきたいということも背景の一つに考えられます。

働き方改革の具体的な施策とは


ここからは、働き方改革の具体的な施策について見ていきましょう。

残業時間の「罰則付き上限規制」

残業時間については古くから問題視され過去にも過労による自殺や過労死など、多くの人が尋常ではない残業時間に苦しめられてきました。
労働基準法において残業時間は定められていますが、36協定を締結することによって月45時間以内で、年間360時間以内におさえられれば、その中で従業員を残業させることが出来ました。
また、36協定の中でも労使合意つまり労働する側と雇う側の合意が取れれば、特別条項を設けることによって実際には無制限で残業させることが出来るようになっているのが実情でした。
しかし、今回2019年4月より罰則付きの上限規制を作ることにより、原則として月45時間、年間360時間を超えて残業することが認められなくなりました。
こちらは、現在大企業のみが対象となっていますが、中小企業においても2020年4月から適用と計画されています。
また、臨時的で特別な理由がある場合には、年720時間以内、複数月平均で80時間以内、月100時間未満の残業しかできなくなります。
それにより、今まで実質上限が無かった残業時間が、上限規制されたという形になっています。
この上限規制に違反した場合においては、36協定の違反となり、罰則として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課されるようになります。

有給休暇取得5日間の義務化

有給休暇については、日本の企業の中でも中小企業に勤める従業員の方々は、「取りにくい」というイメージを持っている方も少なくないでしょう。
そんな有給休暇を働き方改革では5日間以上を必ず取得することが義務付けられました。
具体的には、有給休暇を5日間以上取っていない従業員については、企業側が日にちを指定して有給休暇を取らせるという形となります。

勤務時間インターバル制度

勤務時間インターバルとは、勤務終了後から、次の勤務までの時間を言い、その勤務時間インターバルを今よりも長くし、長時間労働を防ぐのが目的です。
しかし、この制度については努力義務と言う形で罰則などはなく、守らなくても企業が罰則を受けることはありません。

法定割増賃金率5割以上に関する猶予措置の廃止

現在、大企業においては月60時間超の法定労働時間外労働に対して50%以上の割増賃金率になっており、中小企業においては義務化されておらず、「猶予措置」とされていました。
しかし、今回の働き方改革において、猶予措置は廃止される予定です。

労働者の健康確保のための産業医・産業保健機能の強化

長時間労働や過労によるメンタルの病気や、自殺、長期欠席などが起こらないように、産業医や産業保健機能を強化しようという試みです。
産業医による面接指導や健康相談等が確実に実施されるようにされることや、労働者の健康管理を企業がしっかりと行えるように施行されるものです。

同一労働同一賃金

これまで、正規雇用の方と、非正規雇用の方では賃金の差が激しく出るなど、格差が出ていました。
しかし、それらを軽減させるために同一労働同一賃金というものを働き方改革では目指しています。
雇用形態を気にせず、どのような企業でも納得できる待遇を受けられるような環境西、多様な働き方を選択できるようにすることを目指しています。

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度は、高い専門性のある知識を有した労働者について、労働時間規制の対象から除外するという制度です。
高い専門性があるだけではなく、一定水準以上の年収を得ていることが条件ですが、そのような制度を設ける理由としては、能力の高い人に対しては労働による時間ではなく、成果によって評価するためです。

3ヶ月のフレックスタイム制

今までは最大1か月のフレックスタイム制度でしたが、これからは3か月まで期間を延ばすことが可能となり、3か月の中で必要な労働時間を確保することで、自由に労働時間を期間内で分配することが可能となっています。
これにより、繁忙期や閑散期などに合わせて労働時間の分配を今まで以上に自由に設定することが可能となります。
特に月をまたいでの設定が可能になったことは大きな変化と言えるでしょう。

Webマーケターの働き方はどうなる?

ここまで働き方改革の内容について触れてきましたが、実際にはWebマーケターとして働く人たちにとってどのような影響を与えるのでしょうか。
Webマーケターの働き方としては、一般的には朝から勤務し、夕方定時になったら退社するということが一般的だと思いますが、企業の規模や実施しているマーケティングの内容によっては休日出勤してWeb広告を修正したり、マーケティングの資料作りに残業したりと多くの仕事を抱えている方も少なくないでしょう。
そんなWebマーケターの人たちも働き方改革によって、働き方を変化させていくことが必要になります。
残業時間が今までのようにとることが出来なくなったり、有給休暇を取らなければいけないことで今まで休んでいなかった人も休まなければいけなかったりと、当たり前のことではありますが、当たり前のような環境で仕事をしてこなかった方は、時間に追われて仕事をすることになるでしょう。

生産性の向上が不可欠になる

今までの働き方とは異なり、良い意味では残業時間が短くなり休日が多くなります。
その分、今までと同じかそれ以上の結果を残していかなければいけないため、短い勤務時間で同等の仕事をすることになります。
そのため、生産性の向上が不可欠になっていきます。
短い時間で今までと同様のことを行っていくためには、今まで行ってきた仕事の中で重要ではない仕事を排除していくことが必要になり、結果的に生産性を向上していくことになるでしょう。

Webマーケターが取り入れを検討すべきツールは?

生産性を向上させていくためには、余計な仕事を排除して重要な仕事を行っていけばよいのですが、余計な仕事などない可能性があります。
そのような時は、ITツールを駆使して無駄を排除していくと良いでしょう。

RPAツール

RPAツールとは、パソコンの操作を自動化させるツールのことで、毎日同じ操作をする作業ベースの仕事はRPAツールに任せることで、ボタン一つでルーチンワークを代わりにやってもらうことが出来ます。
RPAツールは有料のものが多いですが、中には無料のツールも存在し、無料ツールを利用することで作業を効率化することが出来ます。
例えば、Googleアナリティクスで取得する解析データの収集や、報告書、レポートなどフォーマットを決めて自動化するだけで、ボタン一つで全ての作業をやってもらうことが出来ます。
これだけでも、月間で何時間も無駄な作業を削減することが出来るでしょう。

Excel VBA

Excel VBAを利用するという手もあります。
Excel VBAは、Excelに搭載されている機能で、VBAを理解し設定することで、RPAのような自動化が実現されます。
Webマーケターの方々はExcelを利用する機会も多いかと思いますので、働き方改革を期に、Excel VBAを覚えて作業を効率化、自動化させることも検討してみると良いでしょう。

働き方改革がWebマーケターにもたらすメリット・デメリット


働き方改革がWebマーケターに与えるのはメリットでしょうか、それともデメリットでしょうか。
それぞれメリット・デメリットを見ていきましょう。

Webマーケターにもたらすメリット

・長時間勤務による拘束が解かれる
休日を含めた労働時間外の時間を充実させることが出来ます。
今までとは違い、会社としても休日を取らせるようになることや、残業時間を短くするように働きかけることで、長時間勤務が軽減されるはずです。
・業務改善のきっかけになる
嫌でも生産性向上が求められるため、業務改善をするきっかけになります。
今まで無駄だったことはやらなくて済むようになり、さまざまな業務改善をすることで仕事を整理することが出来るようになるでしょう。

Webマーケターにもたらすデメリット

Webマーケターにとって、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
Webマーケターの方以外でも、長時間勤務により仕事が成り立っていた方は、その時間が短くなることで仕事が回らなくなるということも考えられるでしょう。
そのうち、勤務していないことにして勤務するなどといったブラックな企業のように仕事をすることも考えるかもしれませんが、会社が罰せられるため、そのようなことも禁止され、仕事を回すのが難しくなるかもしれません。
しかし、状況に応じて仕事のやり方は変化していくことが出来ます。
短い労働時間の中で効率よくやるやり方を見つけていくことで、改善出来ていくはずです。

まとめ

ここまで、働き方改革によってWebマーケターにもたらす影響をご紹介していきました。
働き方改革は、すでに2019年4月より一部施行されている施策です。
働き方改革が進んでいく中で、Webマーケターの方々も働き方を改善し、効率的な仕事の進め方をしていかなければなりません。
Webマーケティングを行っている担当者の方は、働き方改革が施行されたいま、Excel VBAやRPAツールなどを駆使して生産性向上をするなど、自分自身の働き方を見直し、その中で生産性向上をするために仕事のやり方も見直してみる機会にしてみてはいかがでしょうか。