マーケティングの基本に立ち返ろう!「STP分析」について

マーケティングの基本、覚えていますか?

マーケティングを学び始めた方も、ベテランのマーケターの方も、マーケティングについて誰かに教わることや、マーケティングの教科書を見て一から学んだという方は少ないでしょう。
どちらかと言うと、マーケティングを実践的に行って経験を積む中で、戦略を打ち立てたり、仮説を立てたりしてきたことではないでしょうか。
マーケティングには様々な手法があり、デジタルマーケティングがトレンドとなっている中で、数多くのマーケティング用語が生まれてきました。
しかし、元を辿ればデジタルマーケティングにおいても、マーケティングの基本からは大きく外れることはありません。
今回は、マーケティングの基礎ともいえる、STP分析についてご紹介いたします。

STP分析とは

STP分析は、マーケティングの中でも基本的な考えである「Segmentation(市場細分化)」、「Targeting(ターゲット設定)」、「Positioning(ポジショニング設定)」という3つのことを行うマーケティング手法で、デジタルマーケティングが普及してきた中で、一人一人の顧客のニーズが細分化され、企業の立ち位置や商品の立ち位置などについて考える場面が多くなる中で、マーケティングの基礎でもあるSTP分析が注目されてきたと言えるのではないでしょうか。

STPの「S」

STP分析のSは、Segmentationの頭文字からきているもので、市場細分化という市場の中でも顧客層を分け、セグメント(区分け)することで、企業のターゲットとなる層を見極め、戦略的にマーケティング活動を行うというものです。
Segmentationをしていくためには、様々な切り口があり、それらを活かしてセグメントしていくと良いでしょう。

人口統計的変数(デモグラフィック)

セグメントする内容の一つとして、人口統計的変数が挙げられます。
具体的には人口や所得、職業や国籍などです。

地理的変数(ジオグラフィック)

交通機関や人口密度など、地理的な要因によるセグメントも必要です。
これには気候なども含まれますが、その場所による影響を中心に考えます。

心理的変数(サイコグラフィック)

趣味嗜好や興味を持っているものなどが挙げられます。
ライフスタイルなども含まれます。

行動変数(ビヘイビアル)

購買状況や使用頻度などを指すものです。
購入パターンや返品の数なども行動変数にあてはまります。

セグメンテーションの感度

また、4つのRの原則と言う考え方もあり、感度の良いセグメンテーションになっているかを判断するためには、この4つの条件を満たしているかを確認することが必要です。

優位順位付け

重要な項目をもとに顧客層をランク付けしたものです。

有効規模

市場の規模が、期待する売り上げや利益を得られるだけの規模があるかという判断をしたものです。

到着可能性

ターゲットとして決めた顧客がいる層、つまりセグメンテーションをした層で、商品の広告を届けられるかと言うものを判断したものです。

測定可能性

セグメントした顧客からの生の声を聴きだすもので、顧客層からの反応を見るといったものです。

STPの「T」

STPのTは、ターゲティングのTです。
ターゲティングとは、顧客層の中でもどの層に向かって商品やサービスを提供行くのかを決めたもので、ターゲティングで決まったターゲットに自社商品やサービスをどのようにして販売していくかの土台になるものです。
ターゲットの話をしていく中で、外せない話となっていくのがペルソナ設定ですが、ペルソナ設定は1人の顧客像を描き、その顧客に向けての商品開発やマーケティング活動が必要となり、顧客像のイメージを共有することでスタッフ間でのアイデア交換や情報共有などに繋がります。
ターゲティングには3つの考え方があります。

集中型

一つの顧客に対して集中してマーケティングを行う手法です。
顧客層をここだと決めて、その顧客層以外は狙わず、その顧客層からの売り上げを獲得することに特化していくというやり方です。
パソコンスクールの場合、資格取得やビジネス、シニアや小学生へのプログラミング教室などがありますが、その中でもシニア向けの教室に絞って若年層は受け付けないというような手法です。

差別型

差別型は、集中型とは違ってすべての顧客層にアプローチをするという方法です。
すべての顧客層に対してアプローチはしますが、それぞれのターゲットとなる顧客層に対して別々の切り口でプロモーションやマーケティングを行う手法です。
フルライン戦略とも呼ばれる通り、すべての顧客がターゲットとなるため、集客は販売を行うターゲットの種類は多くなります。

無差別型

無差別型は、その名の通り無差別にマーケティングを行う手法です。
インターネットがここまで普及する前までには、この手法が多く使われており、例えばテレビコマーシャルや新聞折り込み、雑誌などのマス媒体と呼ばれるものは、全て無差別型と考えても良いでしょう。
ただし、新聞折込やテレビコマーシャルも含めて、ある程度は顧客の層を考えて広告の出稿を検討することが出来るため、一概にすべてが無差別とは限りません。
また、以前は無差別型でもかなりの効果があったはずですが、インターネットの普及とともにユーザーのニーズが多様化し、右にならえで同じことをやっていくというよりは、自ら考えて課題を解決していくという方が求められています。
そういった点から見ても現在では無差別型の広告は中小企業では敬遠されていることでしょう。

STPの「P」

STP分析のPは、ポジショニングです。
ポジショニングとは、ターゲットが決まり、ターゲットに向けて商品やサービスを販売してく中で、顧客からみてどのようなポジションで顧客に価値を持ってもらうかを決めるものです。
ポジショニング戦略がうまくいくと、競合他社との差別化が図れて、競合と戦わずに自社のポジションだけで商品販売やサービス販売を進めていくことができます。

ポジショニングの切り口

ポジショニングを行う上では、ポジショニングの切り口を検討する必要があります。
ポジショニングの切り口として考えられるものは、以下のようなものです。
・時間・・速い遅いなど
・場所・・近い遠いなど
・商品・・質が良い悪いなど
・雰囲気・・カジュアルやフォーマルなど
・レベル・・初心者や上級者など
・年齢・・若年者や高齢者など
・期間・・短期間や長期間など
このような切り口が考えられます。

ポジショニングマップ

ポジショニングを行う上では、ポジショニングマップは欠かせません。
ポジショニングマップとは、前述したポジショニングの切り口を縦軸と横軸に配置し、作られた4つのエリアの中で、自社と競合がどの位置にいるのかを表現したものです。
切り口は沢山あるため、自社と競合の立ち位置をそれぞれ把握し、競合がおらずかつ市場のニーズがあるところを探していくことを行うと良いでしょう。
ポジショニングマップは沢山作っていくことで、自社が戦える場所がどこにあるかが見えてくる可能性があります。
例えば、スポーツクラブで競合と自社をポジショニングマップでエリアに落とし、その中でプールが競合にはないということが分かっても、顧客がプールを求めていなければそれはポジショニングとしては、競合はいないが顧客もいないという状況になってしまうため、間違った選択をしてしまうケースがあります。
ポジショニングはあくまでも市場があってのものなので、市場の状況を把握しつつ進めていくことが必要です。

STP分析を行うメリット

ここまではSTP分析についてそれぞれの特徴をご紹介してきました。
これからはSTP分析を行うメリットについてご紹介していきます。

顧客のニーズがどこにあるかを整理することができる

STP分析を行うメリットの一つは、顧客のニーズがどこにあるかを把握することが出来るという点です。
長年同じ業種で働いていると、自社に来る顧客の情報しか目に入ってこないようになってしまい、顧客のニーズがどこにあるのかが見えなくなる時もあるでしょう。
また、自社の強みや弱みは時代とともに移り変わり、今までは強みだと思っていたものが弱みになっていしまっているケースがあります。
例えば、英会話教室で、親切丁寧に教えていたという強みは、時代とともに何かをしながら聞き流せる教材や、カフェで外国人と手軽に話せるといったもの、ネットでのテレビ電話だけで気軽に会話を定期的に行うタイプなど、「気軽」「手軽」「自宅」といったものにニーズが生まれていることもあるため、一概に「親切・丁寧」が世の中で求められているとは言い切れないでしょう。
このように、ニーズが変わっていくことは自社に来る顧客だけを見ていてもわからないケースがあるため、STP分析を行うことにより、今の時代において、自社や他社の強みや弱み、そして顧客のニーズがどこにあるのかを再認識することが出来るでしょう。

自社の立ち位置を理解しプロモーションを行える

STP分析を行うことによって、競合や市場だけが見えてくるだけではなく、その中で自社の強みを活かしてどのポジションで戦うべきかが見えてきます。
そして、それらが見えると、どのようにマーケティングし、プロモーションを行っていけば良いかが見えてきます。
競合がいる中で、同じ土俵の上で戦っていても、いつもパイの奪い合いになり競合も含めて市場が衰退化していきます。
競合がいないところで勝負をかけることで、市場でパイの奪い合いをすることなく、自社の強みを活かして戦うことが出来るでしょう。

スタッフ間での目的意識を共有できる

また、STP分析を行うことで、部署間やスタッフ間での目的意識を統一・共有することが出来ます。
「我々はこういう立場で、誰誰に対して、こういう商品・価値を提供していく」と言うことが、明確に見えてくるため、新しい商品やサービスが生まれたとしても、何のために誰に提供するのかが明確になり、サービス品質を統一することが出来ます。
また、スタッフ間の意識が統一されるため、強い組織にすることが出来るでしょう。

STP分析の流れ

ここからは、STP分析の流れについて見ていきましょう。

市場の細分化

STP分析を行うためには、まずはSであるセグメントを行っていきます。
セグメントは市場の細分化で、ターゲットとなりそうな顧客層を細分化し、それぞれ似たようなニーズがある顧客をエリアに分けていきます。
セグメントするエリアはいくつであれば良いということはありません。
出来るだけ市場を細分化して次のターゲティングに繋げましょう。

ターゲットの選定

ターゲットの設定は、セグメントされた顧客層の中で、どの層を狙っていくかを決めていきます。
それには自社の強みが活かせるターゲット層を選ぶことと、市場の規模がある程度ある層を選んでいくことが大切です。
ターゲットを決めるということは、自社のサービスや商品がそのターゲットに価値があると判断してもらう必要がありますので、自社だけの考えだけではなく、客観的な目線で見られる人の声を聴くことも大切です。

ポジショニングの設計

そして、最後にポジショニングの設計を行います。
ポジショニングの設計は、ポジショニングの切り口をもとに、決まったターゲットに向けてどのポジションで戦うべきかを決めていくものです。
ポジショニングマップを利用して競合と自社の強みや弱みを理解し、「ここなら戦える」という場所を明確に定めていきます。
その際、今は競合がいなくとも、これから競合が現れる可能性や、競合が現れた場合でも、どのようにしていけばポジションをキープしていけるかなど、未来のことも検討すると良いでしょう。

STP分析を行う上での注意点

STP分析を行う上での注意点としては、どのようなものがあるか見ていきましょう。

各市場の大きさに注意する

STP分析の中で、気を付けなければいけないことは、各市場の大きさです。
せっかくセグメントやターゲティングしても、そのエリアが狭くて市場の規模が小さい場合には、ポジショニングで競合がいなくても顧客がいないため戦えません。
ある程度の規模が無ければならないということを頭に入れておくと良いでしょう。

戦う市場やポジションで未来があるか

市場の規模がたとえ大きくても、そこに未来が無ければ戦うべきではありません。
例えば、今はシニアが多く、シニア向けの商品開発やシニア向けスクールなども多く出ていますが、ある程度年月が過ぎれば、シニアも外に出歩けない年齢になる方が多くなります。
そのような場合には、シニア向けに作ったサービスは衰退し、市場の規模も小さくなっていきます。
一概には言えないところではありますが、市場の未来もある程度予測したうえで、エリアを選定してポジショニングを行うことが必要です。

STP分析を上手に行うポイント

STP分析を上手に行っていくポイントを見ていきましょう。

机上の空論にしない

マーケティングリサーチや、分析などを行っていると、どうしても机上の空論で考えだけが独り歩きしてしまうことがあります。
実際に、今目の前で見えていることは、目の前でしか起きていないことです。
「最近こういう顧客が多い」というのは数万人いる中の10人や20人の場合が多く、実際には別のところのニーズが多いということは良くあります。
頭の中だけで考えずリサーチすることが大切です。

過去の実績を利用する

過去の実績は、ほとんどの企業で参考にしていることでしょう。
予算の組み立てや経費の予測などは過去の実績を利用することがありますが、マーケティングの分野においても過去の実績は大切な材料です。
例えば、過去に起きた事例や、過去に来た顧客の情報などは出来るだけ利用すると良いでしょう。
しかり、過去の情報や過去の流れ、過去の仕組みに捉われていると現在の大事なところが見えてこない可能性があります。
特に最近では新しいサービスや新しい商品、新しいやり方が常に生まれ、企業が利用するツールなどもどんどん変化し、働き方も変わってきています。
そのような時代背景から、過去の実績や経験もすべてがマネでき、利用できる、参考にできるということではありませんので、過去の実績は参考程度にしながら利用すると良いでしょう。

まとめ

ここまで、マーケティングの基本であるSTP分析についてご紹介してきました。
デジタルマーケティングにおいても、Webマーケティングにおいても、マーケティングの世界でやることはあまり変わらず、Webだから特別な考えと言うこともなくなってきています。
しかし、Webマーケティングやデジタルマーケティングを行う上では、逆にマーケティングの基本を理解することや、Webだけではなくその他の販促媒体についても広く理解しておくことが重要です。
特に集客活動を行っている企業のWebマーケティング担当者の方は、Webだけの戦略ではなく、チラシなどを連動させているケースが多いため、WebやSNSといったサービスだけではなく、他の媒体にも目を向けて連動させることを意識しましょう。