事例から学ぶ!成功させるポジショニング戦略のやり方

ポジショニング戦略を学ぶ!

マーケティング活動を行う上で、SWOT分析など市場調査と自社の強み弱みなどを理解することは基本的な考え・手法となります。
マーケティングの中でも、デジタルマーケティングやWebマーケティングが注目されており、今までマーケティング担当だった方がそのままWebマーケティングやデジタルマーケティングの担当者になり、嫌でもWebマーケティングなどの知識を身につけなければいけない状況に置かれている方は少なくないでしょう。
デジタルマーケティングもマーケティング活動の一部に過ぎませんが、デジタルマーケティングの分野は幅広く、改めてマーケティング戦略を行うにあたり、改めて市場調査や自社分析を行うことが必要になる場合があります。
ここでは、改めてマーケティング戦略を検討するために、自社の強みを市場のニーズにマッチさせていくためのポジショニング戦略について、ご紹介していきます。

ポジショニングとは

ポジショニングとはそもそもどのようなものでしょうか。
スポーツの世界でもポジショニングという言葉はよく使われていますが、ポジショニングとは「立ち位置」のことで、位置を定めることがスポーツでも企業においても必要になります。
サッカーでいうと、「ポジショニングをしっかり行う」というのは、例えば、仲間からパスを受け取れるような位置に移動する、空間を作るといったものや、パスを受けたときにすぐにシュートが出来るように位置を意識するといったもので、ポジショニングを行うということは、そこに存在感を出すということにもつながります。
企業で考えると、ポジショニングをしっかり行うことによって、他企業にはない領域で商圏を作れたり、自社の強みを生かせるターゲットに商品やサービスを訴求出来たりと、企業として存続していくために必要な売り上げや利益を取れる位置に行くというものです。
ポジショニングをしっかりと戦略をもって決めることは、自社のサービスや商品を販売する上で強みを活かした販売戦略を組み立てられるほか、競合他社との同じ商圏で戦う必要がなくなる可能性があり、企業にとっては必要不可欠な戦略と言えるでしょう。
ポジショニング戦略を行っていない場合、競合他社と同じ商圏で戦うことになり、差別化を図るために最終的には価格競争をするという結論になってしまうことが多く、そのような状況になると、自社だけではなく他社をも巻き込んだ市場の価格崩壊という事態にまで行ってしまうケースがあります。
このようなことから、他社との差別化や、商品の強みを活かした営業活動を行う上では、ポジショニング戦略は欠かせない戦略の一つと言えるでしょう。

ポジショニングとターゲティングの違い

ポジショニング戦略の話をしていく中で、外せない用語としては、ターゲティングと言う言葉です。
ターゲティングとポジショニングは同じような意味で捉えてしまう方が多くいますが、ポジショニングとターゲティングは戦略としては考え方が全く違います。
ここからはターゲティングとポジショニングの違いを見ていきましょう。

ターゲティングとは

ターゲティングとは、その名の通りターゲットを戦略的に決めるというものです。
ターゲットとは、自社の商品を「販売したい人」もしくは、「購入してくれるだろう人」「興味を持ってもらえるだろう人」になります。
ターゲットという考え方は昔からある考え方ですが、デジタルマーケティングなどが世に出てからは、セグメントやペルソナという言葉も多く見るようになりました。
ターゲットは自社の商品やサービスを購入するであろう顧客層を年代や地域、性別などを選定した層をあらわしますが、その層に向けてチラシなどの紙媒体やマスメディと呼ばれる新聞やテレビコマーシャルなどを打ちだしてきました。
デジタルマーケティングの世界では、ターゲットというぼんやりとした対象イメージではなく、ペルソナと言った「購入しそうな顧客像の一人」に絞ったもので、デジタルマーケティングにはペルソナ設定が欠かせないと言われています。
また、デジタル広告を発信する上では、セグメントと言う年齢・性別・地域・趣味・最終学歴など、あらゆる区分に細かく分けた広告出稿が可能となり、セグメントされたターゲットに訴求しやすい時代となりました。
いずれにしても、ターゲティングするということは、「自社の商品を購入してもらいたい人・層」を決め、そこに向けて広告などを打つという考え方です。

ポジショニングとの違いは?

ターゲティングは、自社の商品を購入してほしい・購入するだろう層を決めていくのに対して、ポジショニングは、市場やターゲットとするユーザーに対して、「どのような位置にいるべきか」を決めるものです。
同じような商品を販売している競合他社と比べたときに、自社の商品がどのような位置として顧客にイメージしてもらうかを想定するもので、例えばホテルの例でいうと、通常のビジネスホテルは価格が安いという部分を売りにしていることが多いですが、リッツカールトンホテルは価格が高くても他社にはない高いサービスが受けられるというイメージを作っています。
このように、価格だけではなく、他社と比べたときに自分たちのサービスや商品がどのような位置にいるかを決めていくのがポジショニング戦略と言います。

ポジショニング戦略をするタイミング

ポジショニング戦略はどのようなタイミングで行うべきなのでしょうか。
ずばり、ポジショニング戦略は商品やサービスを作る前に行うべきです。
というのも、ポジショニング戦略を行う前に商品開発やサービス開発してしまうと、競合他社との差別化を図る上で、改めて商品の内容を検討する必要が出てくるからです。
実際には商品開発やサービス開発をしている中で、無意識のうちに競合他社との差別化を考えたり、企業独自のサービスを取り入れたりとしているケースがありますが、差別化を図るためにも、市場調査をしっかりと行うことと、自社の強みや弱みをしっかりと把握することが大切です。
そして、そのうえでポジショニング戦略を行うことで、商品やサービスに魅力を持たせることができ、販売戦略も明確になります。
また、それだけではなく、社内の共通認識が生まれ、ブレのない販売戦略・営業戦略・接客対応が出来るようになります。
先述したリッツカールトンホテルでは、「サービスを超えるサービス」を意識したポジショニングをしているため、共通認識としてスタッフ全員が徹底して「どのような接客がお客様に感動を呼ぶのか」を常に意識しています。

ポジショニングの切り口

実際にポジショニング戦略を行っていくためには、どのような切り口で考えると良いのでしょうか。
ここからは、ポジショニングする上での切り口について考えていきましょう。

顧客に与えるベネフィットは何か

自社で販売するサービスや商品が、顧客に対してどのような価値を与えるかという切り口になります。
例えば、スターバックスはコーヒーを商品とはしていますが、顧客に与えているのは「空間」です。
オシャレなカフェでのんびり過ごしたいというのを実現しているのがスターバックスで、他のチェーン店にはない空間づくりを大切にしています。
また、無添加の食品などは、おいしさだけではなく「安全・安心」を顧客に提供しています。

商品を利用するタイミング

ポジショニングの切り口として、「タイミング」という部分も差別化を図るポイントになる場合があります。
例えば、缶コーヒーを販売しているメーカーは沢山あり、缶コーヒーは数えきれないほどの種類があります。
その中でも「味」「香」「量」などで差別化する一方で、「朝専用コーヒー」といった商品が並んでいるのを見かけます。
このように、同じような商品でもタイミングを指定することで、「朝だから、これにしてみるか」という選択を顧客に導くことが可能となります。

商品を利用する場所

場所も、ポジショニングの切り口になる材料となります。
どのような場所でその商品を利用するのか、どのような環境下で使用することが多いのかなど、商品を使っているところのイメージをすることで、ポジショニングを行う切り口になるケースがあります。

商品そのものの独自性

商品そのものが他の商品よりも特徴があり、新たな市場価値を生み出せそうなものは、商品そのものを切り口として考えていくことも一つの方法です。
独自性を持つ商品は、競合がいないため、顧客のニーズにマッチしていれば、市場を独占することが出来ます。
しかし、市場を独占している商品やサービスは成長しません。
ある程度市場の競合が現れたとしても、常にサービスや商品を時代に合わせて変化させ、企業を存続させていくということが必要です。

ポジショニングに成功している例

ここからは、実際にポジショニングをして成功している企業を見ていきましょう。

ほけんの窓口

ほけんの窓口は、生命保険や介護保険など、ある特定の会社の保険を取り扱うことが多かった保険会社に対し、顧客の目線から「保険を比較して相談できる場所」というポジションを確立しています。
保険を探そうと思ったときに、ある特定の保険会社であればその保険会社の商品の紹介がメインとなり、「本当は他にも良いのがあるかもしれない」という顧客を生んでしまう可能性がありますが、そのような顧客に対して幅広く保険のことを相談できる窓口という立ち位置となっているため、ポジショニングが確立されていると言えるでしょう。

検索スピード

GoogleとYahoo!はインターネットの検索エンジンとして有名な企業ですが、今ではYahoo!もGoogleのアルゴリズムを利用して検索エンジンを提供しています。
そのGoogleとYahoo!の違いとしては、以下のようになっています。

・Google
とにかく検索スピードにこだわり、ポータルサイトとしての情報発信は行っていない
・Yahoo!
天気やニュースなど、ポータルサイトとしての役割を行っている

このように、Googleは検索スピードにこだわったことで、他の検索エンジンよりもずば抜けて利用されるようになり、ポジショニングを確立したと言えそうです。

ギフト用

AGFと聞くと思い浮かべるのはギフトコーヒーではないでしょうか。
様々なコーヒーメーカーが世の中にはありますが、AGFは「ギフト専用」というポジショニングを築き、贈り物が必要な際に購入していただくというポジションを確立しています。

手軽さの中でも「くつろぎ」を提供

ドトールやその他のカフェとスターバックスでは販売しているものが異なります。
他のチェーン店ではコーヒーを提供しているのに対して、スターバックスは「空間」を提供しています。
安らぎの空間や、読書をする空間、仕事をする空間など、コーヒーという商品を通して空間提供をしていると言えるでしょう。

ドライブする楽しみ

自動車メーカーのマツダは、他の自動車メーカーと比べて一つのポジショニングを確立しています。
それは、「運転する楽しさをドライバーに」というテーマを掲げており、テレビコマーシャルなどでもドライブを楽しんでいるような映像が明るく表現されています。
他メーカーでは、乗りやすさ、広さ、燃費の良さ、など車に対する性能やデザインを中心に差別化を図ってきていましたが、マツダはドライブする喜びや楽しさを提供するというポジションを築き、成功しています。

ポジショニングを戦略化するには

ポジショニングを戦略化していくためにはどのようなことが必要でしょうか。
それは、ポジショニングマップと言うものを利用することが大切です。
ポジショニングマップとは、他社や自社のサービスや商品、または企業のイメージなどが、現在どのような位置にいて、その位置からどのような位置に行くべきか、行きたいのかを明確に可視化したものです。
ポジショニングマップを作る上では軸となるものが必要となりますが、それが先述させていただいたポジショニングの切り口になります。

ポジショニングマップの作り方

ここからは、ポジショニングマップの作り方についてみていきましょう。

軸を決めるための購買決定要因を出す

はじめに、軸を決めるための購買決定要因を出します。
購買決定要因と言うのは、「価格」「場所」「デザイン」「使いやすさ」など、顧客から見たときにどのような要因で購買決定するかというものです。
例えば、英会話スクールでいえば、「価格」「場所」「講師」「環境」「時間」「認知度」など様々な購買決定要因を挙げることが出来ますが、実際に顧客の声を聴きながら購買決定要因を洗い出していくと良いでしょう。

購買決定要因のうち重要評価基準を抽出

購買決定要因を出尽くすまで出したら、その中から重要な評価基準を決めていきます。
例えば、先ほどの英会話スクールの例でいえば、「講師」「環境」「時間」などとします。
重要評価基準が決まらなければ、すべてにおいてポジショニングマップを行い、どこが重点となるのかあいまいになり、ポジショニングをするのが難しくなってしまいます。

マップの作成

重要評価基準を決定出来たら、マップを作成していきます。
軸となるものを垂直方向・水平方向に線を引き、4つのエリアが出来たら、競合他社や自社の商品やサービスのポジションを確認します。
そして、その中から、どのようなポジションで戦うべきかを打ち合わせして決定し、認識を統一していくことが必要です。

競合商品との比較

次に、競合商品との比較を行います。
ポジショニングマップにおいて軸が決まったら、自社と他社の位置に目印を置くなどして可視化してみると良いでしょう。
それらを様々な重要評価基準をもとに行うことによって、自社の強みや他社の強みなどが客観的に認識できるようにもなります。
ここで大切なのは、顧客から見てどうみえるかという視点が大切です。
自社のサービスや商品に社員が詳しいのは当たり前ですが、顧客から見たときに、この商品はこういうイメージではなかったということにならないように、様々な部署の方に評価してもらうと良いでしょう。

まとめ

ここまで、ポジショニング戦略についてご紹介してきました。
ポジショニング戦略は、ターゲティング戦略と違い、自社の商品やサービスを顧客からみてどのようなポジションで戦っていくかを決める大切なマーケティング手法の一つです。
商品やサービスのポジショニングをすることによって、競合他社との差別化が図れ、市場を崩壊させてしまう価格競争などを避けて勝負することができ、商品やサービスが持つ強みを活かして顧客に提供することが出来るようになります。
自社開発した商品やサービスは、自分たちが思っている以上に価値を持ち、その価値を提供してもらいたい顧客がどこにいるのか、何を求めているのかを顧客目線で考え、その顧客が自社商品を選択してくれるポジションに立って営業活動を行うことが大切です。