デジタルマーケティングに導入すべきAIの活用事例

めざましいIT業界の中でも、近年飛躍的な進化を遂げているのが人工知能=AIです。
車や医療業界のみならずレジやホテルの受付などの人材不足を補う目的で導入されたAIも、それぞれのユーザーのニーズに合わせて柔軟な対応ができるようになっています。
今回は、デジタルマーケティングにAIを導入するべき理由と実際の導入事例をご紹介します。

 

AIとは?

AIはArtificial Intelligenceの略で「人工知能」を意味する言葉で、わかりやすく説明すると「人間の脳が行う知的作業をコンピューターで模倣したもの」。
人間が使う言語や学習能力も備えており、経験を重ねることでより柔軟な対応ができるようになります。ただし、明確な定義はいまだ明確にはなっておらず、「人間のような知能を持ったコンピュータープログラム」と解釈するのが一番しっくりくるのではないでしょうか。

AIの開発は1950年代から始まっていますが、過去にはそれほどの技術もなかったこともあり、進化の度合いは遅々としたもの。現在はGoogleが人工知能の開発に莫大な研究費を投じて積極的な導入を行うようになったことも手伝って加速度的に進化し、自動車業界や医療現場など多方面で活躍が目立つようになりました。

また、中には「AI=ロボット」とイメージしている人もいるかもしれませんが、ロボットはプログラムされたことだけを行う、いわば「機械的」な存在であるのに対し、AIは自分で考えることができる「脳」のような働きをします。
ロボットとAI、2つが連携することで、より人間に近い知能をもった「人間型ロボット」が完成するというわけです。

AIができること

今後、導入がさらに広まるであろうデジタルマーケティング。AIを導入するにあたってAIができることについても詳しく理解しておく必要がありそうです。

1.画像認識
AI機能の中で最も実用化されているものが「画像認識」です。見たままのものを認識して、データとして蓄積していきます。実用例としては、上空からの写真撮影で建物や土地の広さ、距離などを正確に測ることや医療現場で人間の目では見えないような腫瘍の発見などにも役立てられています。

2.音声認識
最も広く知られているAI機能といえば「音声認識」でしょう。特に親しまれているのがiPhoneに搭載されているsiriとGoogleアシスタントで、どちらも音声で話しかけることで認識され、その人の好みや話し方、よく聞かれる質問や注文などを学習していきます。
ビジネスシーンでは会議などの音声を認識しながら議事録を作成することができます。また、聴力の弱いサポートなども医療や介護の現場では役立てられています。

3.ゲーム
AIはオセロや囲碁・将棋などでの対戦ゲームにも最適です。いろいろなデータを蓄積していくので、その都度ことなる戦略でゲームを楽しむことができます。

4.生成処理
AIでは、画像や音声、文章などの特徴を学習し、新しい画像や音声、文章を生成することができます。
また、データを分析し、それに対する対応方法を予測する、講義やレポートなどの長い文章を要約したりすることも可能。文章作成のサポートなども実用化されています。

 

AIはデジタルマーケティングに活用できる?

「人間のような知的機能を持ったプログラム=AI」とお伝えしましたが、実際にデジタルマーケティングにAIを導入することは可能なのでしょうか。

AIは、データを蓄積することで学習するコンピュータープログラムです。ある一定のルールに従ってデータを収集・蓄積・分析・検索・結果抽出といった作業は、まさにAI向き。

デジタルマーケティングはデータを活用し、市場調査やプロモーションを行うことを目的としているわけですから、AIはデジタルマーケティングにおいて最大限に活用できるツールであるといえます。

 

AIを活用した代表的なツール

AI技術の進化とともにAIを活用したアプリもいろいろなものが提供されるようになりました。
スマホやPCで利用することができるので、マーケティングに活用することやマーケティングをサポートしてくれるものなど種類もさまざま。
ここでは、そのアプリと導入事例について詳しく見てみましょう。

AIアナリスト

AIアナリストは、株式会社WACULが開発・提供しているAIツールです。
Webサイトへのアクセス解析や経路の集計などを行い、サイトが抱える問題点やその改善方法などをアドバイスしてくれます。
膨大なデータの収集は人間も行うことができることとはいえ、労力や時間もかかってしまいます。集計ミスなどの可能性も高く、スピードと正確性の点からもAIを搭載したツールは信頼度が高いようです。
また、Googleアナリティクスに連携させるだけですぐに利用できるとあって、多くの企業からも人気を集めています。

Repro Web

Repro Web(レプロウェブ)は、アプリマーケティングツールを展開するReproが開発・提供しているアプリです。アプリユーザーの性別や年齢、職業などの属性データを取得し、さまざまなデータに分けて分析することができます。
また、商品をお気に入り登録したユーザーに対し、特別価格での購入特典やお得なキャンペーン情報などをプッシュ通知など利用して配信することができるツールです。

効果的なマーケティングをサポートしてくれるため利用価値が高く「バイトル」や「minne」などで導入されています。
最近では「少年ジャンプ+」と連携し、少年ジャンプ+に登録したユーザーの行動履歴にあわせて最適な商品やサービスを自動抽出してユーザーに提供配信する「チャーン予測機能」「レコメンドプッシュ機能」「プッシュ通知の配信時間最適化機能」などの実証実験が行われています。

クルマコネクト

生活に身近な中古販売会社「IDOM(旧ガリバー)」が提供している「クルマコネクト」は、日本企業FRONTEOが開発した人工知能「KIBIT(キビット)」を搭載したオンラインサービスです。
KIBITは、人の思考を解析し、未来を予測する能力を持ち合わせている、とても優秀なAIです。

クルマコネクトを訪れたユーザーは、チャットで車の好みや関心事項を答えていきます。KIBITは、この情報をベースにして、クルマコネクトに搭載された膨大なデータのなかからユーザーが求めている車を抽出してくれるというわけです。

このようにAIを利用した接客は日本に限らず、世界中で活用されています。
例えば、アウトドア用品で有名なアメリカの「The North Face」のオンラインショップでもユーザーとのチャットを利用した接客を行っており、ユーザー側からの高い満足度を得られていると好評です。

OK SKY

OK SKYは、日本の「株式会社空色」がアパレル企業向けに提供しているAI搭載のチャットシステムです。
チャットによる会話からユーザーのニーズとなるデータを抽出し、速やかに対応してくれます。オンラインショップだけでなく、店が込んでいるときの接客支援サポートなどもAIが行ってくれるので、店側もユーザー側も満足度の高い買い物を楽しむことができると注目を集めています。

若い女性に人気の高いファッションブランド「株式会社オリーブ・デ・オリーブ」は、LINEを通じてOK SKYを導入した自動接客システムサービスを提供し、効率よく収益を伸ばしています。すべての接客がAIまかせではなく、ユーザーのニーズに合わせて柔軟な対応ができるようにスタイリストへの引継ぎなども行われ、実際にお店で接客されているかのような満足度の高い細やかな対応が可能になりました。

SENCY CLOSET

SENCY CLOSET(センシークローゼット)は、SENSY株式会社が提供するAI搭載アプリです。
洋服の検索や整理整頓をスムーズにするためのタグ付けを行い、すぐに目的の洋服やアイテムを見つけることができたり、コーディネイトや着まわしカレンダーといった便利な機能も備わっており、人気の高いアプリです。
紳士服で有名な「ハルヤマ」が活用しており、AIがユーザー好みのコーディネイトやアイテムを提供し、DM配信などを行っています。

かざしてGET!、かざして駅案内 表参道版

「かざしてGET!」「かざして駅案内 表参道版」は、どちらも東京メトロとNTTが期間限定で共同実験を行うために提供されたAI搭載のアプリです。
東京メトロの駅案内とNTTの広告チャネルへの誘導を目的としたもので、撮影時に画像を認識するAIが搭載されています。

前者の「かざしてGET!」は銀座や新宿など都内7つの駅を対象としたもので、各駅構内にある特定の広告をスマホで撮影すとさまざまな特典が受けられるというもの。
後者の「かざして駅案内 表参道版」は表参道を対象とし、改札近くの案内板をスマホで撮影すると現在地が表示されるようになっていて、最寄の出口や目的地に近い出口がすぐにわかるので東京メトロで迷う心配がありません。

 

AIを導入したときの新しい価値とは?

ITが幅広く進化を遂げた現在、デジタルマーケティングにAIを導入すると企業側にどのような価値が見出されるのでしょうか。

作業の自動化

人材不足が叫ばれるようになった近年。医療や介護、製造や通信など多くの業界ではAIを搭載したシステムが導入されるようになりました。
AIを導入することによって、作業の自動化が可能になり、現場での人材不足が解消されつつあるのです。データ管理や単調な作業に対しての利便性や正確性は人間よりも安全で確実です。もちろん、デジタルマーケティングの世界でもAIの信頼性は高く、今後もさまざまな業界での活用が期待されています。

インサイドセールスの効率化

AIを導入したデジタルマーケティングの拡大は、営業活動にも大きな変化を与えることになります。
これまでの営業マンは、営業社員があちこちを駆け回って仕事をとってくるというイメージでしたが、AI導入によって、そうした業務の効率化が図られることになります。
まず、メールや電話、チャットなどの充実により、移動のための時間や費用などが大幅削減、さらにAIがもつ予測分析プラットフォームの機械学習をはじめとした機能を最大限に生かして業務効率を上げることが可能に。
実際に数々のアメリカや北米の大手企業がこのインサイドセールスツールを導入し、成約率の向上を実証しました。

データ管理

マーケティングにおけるビッグデータの重要性は言うまでもありません。
実際に多くの企業が現在も投資を行いながらデータ収集を行っています。
これまではすべてが人の手によって行われてきましたが、そのデータ量の膨大さを考慮するとデータ管理が人からAIへと移行するのは必然です。

また、休む必要のないAIは365日24時間いつでも同じ状態でデータを管理してくれます。情報漏えいや改ざんの心配もなく、蓄積されたデータをいつでも抽出することができるAIは最適なツールです。

 

AIを導入する際の注意点

便利な最先端技術として注目を集めているAIですが、決して良いことばかりではありません。デメリットともいうべき注意点があることも理解しておきましょう。

1.コストがかかる
AIを導入には数百万円規模の初期費用が必要となります。また、AIシステムを運営・管理していくランニングコストや管理者の人件費なども必要です。AIの導入を検討するなら、まずはこうした予算をすべて把握し、費用対効果が得られるかどうかを判断する必要があります。

2.すべてが自動化できるわけではない
AIを導入したからといって、作業すべてが自動化できるというわけではありません。
デジタルマーケティングにおけるAIも同様で、マーケティングに必要なデータの収集・分析・報告書作成などの業務に役立てることはできても、それ以外の部分では業務が増える懸念もあります。
どのように運営していくのか、目的や手段をあらかじめ社内で決定しておくことも必要です。

3.社内の連携をとることが重要
AIシステムを導入することは、社内にとっては莫大な経費と労力を掛けることになります。
さまざまなデータをAIに蓄積し運営していくには、実際に使用する販売・営業・データを管理する事務・サポートする部署・それらを管理する上層部との連携が必要不可欠です。
それぞれがしっかりと活用し、効率よく使いこなしていけるような環境づくりを行うことが大切です。

 

AIを導入するには?

では、実際にAIを導入するはどのような手段があるのでしょうか。
AIを自社で一から開発するのは莫大な費用と期間がかかり、高い専門知識を持った人材も確保しなければなりません。
現在は、すぐに利用できるAIサービスも充実しているので、こうしたサービスを利用するのが一般的です。

1.既存のプラットフォームを活用する
現在広く活用されているのが、クラウド上で公開されている既存のプラットフォームを活用する方法です。
AMAZONやGoogle、Microsoftなどから提供されているAIプラットフォームを導入すれば、コストも抑えられ、画像認識や音声認識機能もすぐに利用することができます。
さらに、こうしたプラットフォームをカスタマイズして自社システムに適したものにするという方法もあります。自社システムとして使いやすく変更することができますが、作業はすべて外注することになるため、やや予算がかかってしまいます。

2.既存のAIサービスを活用する
既に販売されているAIサービスを活用するというものです。
チャットやネットショップでの活用、アクセス解析などを行うことができます。
すぐに活用することができるので、まずはどんなものか試してみたいといった場合や、リースなどを利用してできるだけコストを抑えたいといった場合にオススメです。

いずれの場合もAIに学習させるためのデータが必要となるので、運用可能になるまでには多少の期間が必要です。システムに詳しい人材の確保は事前に行っておきましょう。

 

まとめ

ここまで、デジタルマーケティングに導入すべきAIの活用事例などをご紹介してきました。
AIは現在のデジタル社会においても発展や進化が大きく期待されているものとなっており、人が行っている仕事をこれからはAIを含めた機械が行うという時代が来ると言われています。
RPAをはじめとしたロボットによる自動化や、人工知能を搭載したAIの存在など、私たちが住む世界には機械との共存が欠かせなくなっています。
デジタルマーケティングを行っていくマーケターの方々は、いち早く最新の情報を取り入れて企業の繁栄に活かしていくことが求められています。